すべての花へそして君へ①
4-3



 振り回したと、思っているんだろう。

 実際のところはそうなんだろうけど。



 自分の中に、そうだと。

 思ってはいても、納得している部分がある。


 それで……ああ。やっぱりそうだよなって。

 実感する。



 彼女への想いは本物で。

 情けないことに、候補だと言われて舞い上がってたこともあった。

 彼女の口からは、きちんと聞いてなどいなかったのに。



 けど。やっぱりどこかで納得していて。

 今、目の前で笑っている彼女が、自分じゃない誰かを想っていても。

 引き裂かれるような痛みなんて来なくて。



 ああ。やっぱりなって。

 俺の心の中にあった予防線がそうしてくれたんだと。


 そう、してしまったんだなと。





 ……俺は、思い知った。




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