すべての花へそして君へ①
4-5



 聞けなかった。聞きたくなかった。

 十分気持ちはわかってるんだ。


 それをわざわざ聞けるほど、……俺はできた人間じゃない。

 結局は、あいつから逃げたんだ。



 だから、『ここ』だと決めた。

 それでもしないと。そうしないと、俺は……。



 大切なんだ。誰よりも。

 大好きなんだ。二人のことが。


 そんな二人の幸せなんかに。

 俺がいちゃ、いけない。



 言い聞かせる。何度も何度も。

 そして思い知る。何度も何度も。


 ……無理だ。そんなの。



 応援? したいに決まってるだろ、そんなの。

 当たり前だ。

 幸せそうな二人を見て、俺だって嬉しいんだから。



 それでも。……俺だったらって思う。

 ほんと、バカだ。大馬鹿だ。



 わかってる。

 あいつは、弟の隣が一番幸せだってこと。

 ……っ、ちゃんと。わかってる……!



 だから……今日はもう、寝よう。

 きっと寝たら落ち着くさ。こんな気持ち。





 ……落ち着いたら、どんなにいいか。




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