すべての花へそして君へ①
これ以上ないほどの楽しみ方
「彼女もいろいろ面倒臭い性格されてるんですねえ。ごめんなさいって、さっさと振ってしまえばいいのに」
「はあ。……カオル、それは」
「あおいチャンは、おれたちのこといろいろ考えてくれてるからねえ。……かおると違って」
「え。あ、アカネ?」
敵意を剥き出しにしたおれに、ひなクンはちょっと動揺していた。
「あらあら。ぼくはやっぱりそういう役目なんですねえ」
「カオルの言い方が悪いせいでしょ」
「いいえ。そういう面倒臭いものをぼくは持っていませんので、ちょっと羨ましかったりしただけですよ」
「……かおる?」
「二宮さん。その節はあなたにも不快な思いをさせて申し訳ありませんでした」
「ええ!? いや、おれは別に。……あおいチャンには?」
「はい。もう謝罪はしています。流石にあれは、やり過ぎでしたから」
ほんの少し影の差したかおるが、何を思ったのかはわからないけど……。されたあおいチャンが、許してるのなら。何も言わないひなクンが、その時のことを許してるのなら。
「かおるも大変だったみたいだし。……お疲れ様、かな?」
すごーくやさしい、自慢のお友達が、なんて言ったかはわからないけど。
「……ありがとうございます。二宮さん」
やさしい彼らのことだ。どうせ笑って許して、ちょっと困ったような今のかおるの表情をバッチリ見たんだろう。きっとそうだ。