すべての花へそして君へ①
どんな検定も難なく現役合格
「わたしが、……そういうことに慣れてないからかも知れないんだけど」
こうして手を繋ぐことももちろん、荷物を持ってもらったりだとか、庇ってもらったりだとか。もちろん今までなかったわけじゃないけど、でもその相手が好きな人なんだから、緊張しないわけがない。嬉しくないわけがない。
「いや、逆に慣れてたらそれはそれで嫌なんだけど」
「え? ……そうなの?」
「そりゃそうでしょ。慣れてないから……」
「……? 慣れてないから?」
「……、いいんじゃん」
「……そう?」
「もし慣れてたら、少なくともオレは慣らした奴の存在が、手を繋ぐ度にちらつくよ」
「え」
「オレはね。心狭いから」
「そっ、そんなことないよ!」
「誰でもなわけないでしょ。あんた限定」
「……!!!!」
そ、それから……。ヒナタくんの前で、ちょっとしたへまをすることさえ怖くなってしまったんだと。ものすごく恥ずかしいんだと。
「……え。いつも変じゃん」
そう言ったら、バッサリ。
「今までだって、結構へましてるじゃん」
例えば、毛糸のパンツ見られたり。体育祭、一人で行動すんなっつってんのにしたり。文化祭も同上。
「……ハイ。仰る通りで」
なんか、今までの失敗を指摘されて、尚且つ叱られているような気分になった。しかも正論のため反撃できず。
「それから?」
「え?」
「終わり? 他にはないの?」
上から降ってくる声は、体から直に伝わってくる振動は、なんだか楽し……いや。嬉しそうだった。