すべての花へそして君へ①
4-16
初めて出会った時、彼女は真っ白なベッドの上にいた。
透き通るような肌に、ほんのり紅の差す頬。
入院しているにもかかわらず、その髪には艶があり。
一度だけ梳かせてもらったそれは引っ掛かることなく。
鼻腔に届いた、彼女の甘い香り。
表舞台へ一度も姿を現さなかった彼女の功績は、簡単に言葉にはできなかった。
出会いは突然。
そして、別れもまた然り。
初めから実ることのない、淡い恋心。
彼女がいなくなってからも、その思いは潰えることなく。
今もまだ、心の中で燻っている。
長い長い片想い。
長い長い実らぬ恋。
とても苦い初恋だったけれど、たくさんの出会いがあった。
ぼくのまわりに咲いた、たくさんの花たちを。
……彼女はどこかで、見てくれているだろうか。