すべての花へそして君へ①

ヒナタくんのお悩み相談室~


 それから、取り敢えずシントの誤解を解くことに。
 シントは、日記以外の段ボールには手をつけていないこと。だから、シントは泥棒でもなければ、匂いを嗅いですらいないのだ。


『それにシント、今更わたしの下着とか見てもなんとも思わないと思うよ?』


 執事さんとして側にいてくれた頃は、服の用意だって普通にしてくれてたし。そもそも、シントの前で下着姿になることだってなかったわけじゃないし。


『……面白くない』


 そう言ったら完全に拗ねちゃったけどね、彼。宥めようとしたけれど、『いや、大丈夫。わかってるから』と、そうは言いつつお口は尖らせていらっしゃいました。


『そりゃ、それはしょうがないけどさ。……わかってるよ。納得してる。でも、しょうがないじゃん。流石に今はもう、そこまでオレ善人じゃいられないよ。妬くって、普通に』


 そうやって、素直に言ってくれるのはとっても嬉しいんですけど。……素直は素直で心臓さんが痛いです。拗ねたかわいいお顔さんも、わたしの心臓に何本もの矢をプスプスと刺していくんですけども。
 いや。いいんです。わたしの目標は、ヒナタくんにいっぱい好きって言ってもらうことなので。
 わたしの心臓さんがどうなろうともっ! 言わせてみせましょうとも! きゅん死に大歓迎だコラー。

 それから、ちょっといろいろ相談事があったわたしは、ヒナタくんに話を聞いてもらうことにしました。


「ていうかさ、下着の入った段ボールそのままなんでしょ? あおいは知らないかも知れないけど、シントさん相当の匂いフェチだよ。ちゃんと段ボールの蓋閉めてきた? 今頃その段ボールに頭突っ込んでるかも知れないよ?」

「ちょっと待とうヒナタくん。だいぶシントの扱いが酷くないかい??」

「え。こんなもんじゃない? シントさん」


 扱いとしては間違っちゃいないけど、流石にそこまでいくと元主人としてはちょっと……想像しただけで寒気が。


< 372 / 422 >

この作品をシェア

pagetop