サヨナラじゃない

〚喧嘩〛

「ただいま…〜」
ガチャリと扉を開けると同時に、疲れてる感じの声を出す。
「疲れたぁ、」と呟きながら、肩から学生鞄を下ろす。
流石に夏は暑いわ。
エアコンをつけてると、
「ただいま」
ほぼほぼ温度のない声が玄関側から聞こえた。
あれ?いつもは学校楽しかったぁって感じの声だったのに。
「え?アラレおかえり…」
とても疑問に感じながらも、言葉を返す。
そうそう!おかえりってこんなあったかい言葉なんだね。
返してくれる、それだけでこんな嬉しいことなんだと、いつも嬉しく感じてる。
「アラレ、どした…」
「千影、酷いね、」
「…っは?」
私に近づいて放った一言が、衝撃の一言すぎて呆気に取られた。
「…っ、ごめん、俺石川んとこ泊まるわ」
『石川ー?』
「えッ!ちょっ」
ぱっと荷物をまとめながら電話をすると、直ぐ様アラレは出ていった。
…あーあ、これじゃ、この新居もあの冷たい家と同じじゃんか。
私はぼんやりとそんなことを考えた。
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