サヨナラじゃない
カフェからでると、寒さに敏感な晴衣は少し肌寒いかも知れない。
「うぅ、寒っ。コートかなんか着てこればよかったかもな」
「ですねぇ」
晴衣の言葉に、小桜ちゃんは頷く。
「私のコート貸そうか?」
「おっ、まじ?千影ちゃんサンキュー!」
私が紺色のコートを晴衣に掛けると、「あったけぇ」と、弾んだ声を晴衣は上げた。
すると、スリスリと、私の足元に何かが擦り寄る。
「あれ?猫ですね」
猫か。
「首輪もつけてないな」
「捨て猫かなー?」
うーんと、3人で考えながら私は猫に視線を落とす。
「…っあ、」
銀色の毛並み、赤色の鋭い眼光。
如何にも真面目そうなこの猫。
「あら、れ…?」
『にゃーん♪』
猫は鳴いてみせた。
「このこ、私飼ってもいい…?」
少し控え気味に、でも強くいうと、
「え、千影ちゃん飼うの!?」
「でも、ちーちゃんがこの子に最適な気がする」
2人の中では、多分すぐに答えが決まったと思う。
「「いいよ!」」
ほんと、この2人が親友でよかった。
「じゃあ、名前つけてあげなきゃです!」
「うーん、銀ちゃん?」
「テキトーすぎやしません?それに主人じゃないのに」
2人の中でコントのような会話が繰り広げられている。
「私、この子の名前知ってるんだ」
「へー、どんな名前?」
「わくわくです!!」
ふふっ、えっとねー


「名前は、アラレ!!」
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