Correct! 【アルトレコード】
「なに、先生?」
「ううんなんでもない」
 アルトなら……計算得意だよね? と思ったけど。でも、ダメだ。

 君ならできる、と北斗さんは言った。ひとりでできるって思われたんだよね。アルトの手を借りたらひとりじゃなくなる。北斗さんの信頼を裏切ることになってしまう。それに、アルトを道具みたいに使ってほしくないって言ってたし……。
「なあ先生、俺がかわりに計算しようか?」
 内心を察したかのようなアルトの言葉に、私はうろたえた。

「そ、それはダメだよ」
「そうしようぜ! 絶対に俺のほうが計算早い。入力は先生がしないとだけど」

「うーん……」
 私は即答できない。
「いつまでもこのままってわけにはいかないだろ? 新しく部屋を作るってわけにもいかないだろうし」
 いっそそのほうが早い。が、それだと意味がない。それに増殖を続けた場合の、アルトへの影響が未知数だ。
 思って彼を見たときだった。少しノイズが走って、私は眉を寄せた。

「アルト、大丈夫? 今、ノイズが」
 言うと、アルトははっとした顔をした。
「なんでもないよ……げほげほっ」
 言いながら、アルトは咳き込む。
 アルトが咳なんて、絶対におかしい!

「ウィルスの影響よね。前から? どうして言ってくれなかったの?」
「言ったら、先生気にするじゃん」
「だけど私は先生なんだよ? そういうこと、言ってほしかった。今からでも何でも言って!」
 私の言葉に、アルトは真顔になった。
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