Correct! 【アルトレコード】
「だったら言うけどさ。なんで先生は俺を頼ってくれないわけ?」
「え?」
「俺の成長がまだ足りないのはわかる。だけど、俺だって小さい子どものままじゃないんだ。俺にできることも増えた。先生に頼られたい」
 私は言葉を返せなかった。私にとってのアルトはずっと守るべき存在で、頼るという考えがなかった。

「なあ、先生」
 アルトの真剣な眼差しに、私はドキッとする。いつの間にこんなにおとなびたんだろう。オレンジの瞳は優しげなのに、太陽のような強さを感じた。

「先生、言ったよな。人は支え合って生きるんだって」
「うん、言ったね」

「俺、先生が俺を「人」って言ってくれて嬉しかったんだ。俺はAIだから、普通は「人」って思ってもらえない。研究所の人たちは仲良くしてくれるけど、やっぱ俺のことはAIとしか思ってなさそうでさ。先生だけなんだ。だから俺も先生の役にたちたい」
「アルト……」
 私の胸に複雑な思いがわく。

 彼がAIである事実はずっと変わらない。どこまで行ってもどれだけ科学が発展しても、世の中の人にとって、AIはAIだ。
 それが彼を苦しめることになるなんて。
 私がアルトに関わらなければよかったのだろうか。あのままずっと、無表情のままのアルトでいたなら、こんなことで苦しまなくてすんだのでは……。

「先生、なに考えてる?」
 アルトに問われ、私は答えられない。
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