すべての花へそして君へ②
なんだか嬉しそうにニヤニヤしているトーマさん。それが別に、バカにしたような笑いじゃなくて。多分、珍しいものを発見したような。わたしが知らないことを教えられて嬉しくて楽しい……みたいな。そんなやわらかさを持っていて。
そんな表情で見られると、恥ずかしくて、なんだか悔しくてむくれようとしていたけれど。むくれたところで目の前の初めてはわからないままだから、素直に伝授してもらうことにしたのだけど。
「上のラベルを剥いだら出てくる、突起があるでしょ?」
「はいっ!」
「それを二つにわける。リングの方はもう要らない。突起の方だけ使うよ」
「はい!」
「それで、突起をビー玉の上にセットして、落とすように下に押せばオーケー」
「あ。でも葵ちゃんにあげた方は、さっき驚かそうと思って思いっきり振ったから――」と、そういうことはもっと早くに教えてくれと思いました。
プシャァア――ッ!!!!
……渡されてから、ちょっと時間経つのにこの勢い……。
「ぶはっ! あっ、あおいちゃ、ご、ごめ……っ。ははっ!!」
あなた、どれだけ振ったんですか。
この謎の突起を、まだ手で押さえておけばよかったなって思った。『――落ちた!』と思った瞬間、それから手を離すんじゃなかったって思った。
「……!! すごっ……! すごい! ははっ! ミラクルっ。ミラクルが起こってるっ! ちょっと待って……。今写真撮るからそのままで……。ぶはっ」
なんかね、額が痛いなって思ったんだよ。絶対謎の突起が額から生えてるんだろうよ。……違うよ。くっついてんだよ。なに一人で突っ込んでんだよう……。
カシャッと音が鳴ると同時に、フラッシュが眩しく光る。思い切り目を瞑ったけれど、目にラムネが入ってちょっと痛い。
「とーまさん……」
「ごめんごめん。葵ちゃん……っ。ぶは」