すべての花へそして君へ②

 けれど言い切る前に、真後ろから割って入ってきた団扇によって、その指に制裁が下された。……あ、あぶなっ。わたしの鼻が高かったら、危うくなくなってるところだったよ。


「……っ」


 って! どうしたんだお兄ちゃん!? 声すら出ないくらい痛がってるの!? ちょっと君、どこ目掛けて団扇立てて攻撃したの……!


「親指の爪と皮の間んとこ」


 そりゃ痛いはずだわ▼


「あの、ツバサくん大丈夫……?」

「はーい近づいたらダメー」


 しかも何故か団扇顔に押してられてるんですけど。せ、せめてツバサくんの親指があるか確認させて……!?


「あんまり近づいたら変態がうつる」

「え? いや、わたしもう変態だし」

「あんたのがうつるんだって。ていうか今遠回しにツバサが変態だって言ったね、あんた」

「そんなつもりはないよ!? その後続けてツバサくんの変態を否定しようと思ったよ!?」

「なんで兄貴の方ばっか庇うの。オレが彼氏なのに」

「ヒナタくんや、わたしとまともに会話する気ないでしょ」

「うん」

「うんて……」


 やーやーと言い合いをしていると、再び視線を感知。


「んで? 誰が変態だって? 葵」


 うわお。この人も怒らせたらいけない人だった。
 慌てて、熱海で作成した【姑ツバサくんのご機嫌取り方法一覧】を起ち上げた▼


「って、そこまで危機感持ってなかったから白紙のままだった!」

「ツバサごめん。そこまでクリーンヒットすると思わなくて」

「ん? あーまあ、気にすんな」


 ちょっと。無視しないでよ。なんで兄弟二人もう元通りになってるの。だったらわたしの、変態についての発言を訂正しておいてよ! あなたわたしの彼氏さんでしょう!?


「いや、俺も実質変態だし。じゃないとまずこんな恰好しねえ」

「「あ。自覚はあったんだ」」

「お前よりはまともだと思ってるからな、さすがの俺も」

「えっ!」

「だろうね」

「ええっ!?」


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