すべての花へそして君へ②

 結論、腰が砕けました。


「っえ。だ、大丈夫……?」

「そんなわけナイ」


 カクンと足の力が抜け、立っていられず壁伝いにズルズルズル……。


「え。……え? ほ、ほんとに大丈夫?」

「大丈夫なわけがナイッ」


 目の前から声が聞こえる辺り、どうやら完全に座り込んでしまったわたしに合わせて、彼もしゃがみ込んだらしい。けど今は、そんなことどうでもいい。


「……まだ顔から手、退けないんですか」

「あなたが服を着てくれたら退けますデス」

「ロボットみたいになってますけど?」

「ただ今オーバーヒートになりまシタ。再起動まで少し時間がかかりマス。しばらくお待ちくだサイ」

「じゃあ待ってる」

「……!? さっ、さっさと温まってきてくださいよ……!」

「だってあおいさん。オレが待ってるから早く上がっちゃったんでしょ? どうせ。あおいさんにもちゃんと温まっていただかないとー」

「もう十分あっついので大丈夫ですっ!」

「あ。そーなんだー。それはよかったね?」


 ……っ、くそう。さっさとシャワーを浴びてくればいいものを。
 完全にヒナタくんのペースだ。これはなかなか脱出できそうにないぞ。


「……んしょっと。つーか、上半身裸で見ろ見ろとか言ってる時点でオレ変態じゃん。やっべ」


 静かに座り込む音が聞こえたかと思ったら、首に掛けていたタオルを取られた。どうやら、まだ濡れているわたしの髪を拭いてくれるらしい。わしゃわしゃされて、ちょっと気持ちがいい。


「へ……。変態ってうつるんでスカ」

「うつるも何も、人間誰しも変態だよ」

「え? ひ、ひなたくんは、そんなことない、もん」

「オレだって変態だよ。半裸で女の子襲ってるんだから」

「わっ、わたしの方が変態だから……っ!」

「……いや、何言ってるの。別に比べることじゃないでしょ」

「へ。変態、だもん……」

「いやいや。あおいが変態なのは知ってるけどね? オレも、何回も警察に通報を」

「したの!?」

「……マジでしようと思ったことは何回もあるけどね」


 そうですか。よかった……。心から本当によかった。
 変態なのはもう認めてますけど、あの頃警察に連れて行かれてたらもう、大変なことになってましたからねわたし……。


「……正直さ、マジ焦った」

「……え?」


 ……ふわりと。タオルが首元へと帰ってくる。


「……それは、わたしもだよ」

「……ん。ごめん」


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