すべての花へそして君へ②
「酔ったミズカさんから逃げるのに苦労するくらいなら、俺には一生勝てないね」
「はあ? アイだって絡まれてたじゃん」
「あれはお酌をしてたんだよ。『娘さんを俺に下さい』って。ちなみに了承は得た」
「はあ!? そんなのミズカさん酔ってたんだから無効に決まってるでしょ!」
「わたしの了承を得てないんだから無効に決まってるでしょ」
「「そ、そうですね……」」
そんなこんなで、昨日はたまたま金曜日。大抵金曜日の夜はお誘いを掛けているので、大きな荷物を持って彼はお泊まりに来たというわけだ。
それから最後に。
全ての事が一段落して。父カナタは、母クルミとの交際を、実の父親――つまりわたしの祖父に頼み込んだらしい。母情報によると、以前ヒナタくんに言われた通り、父は母が如何に優秀な人材なのかを力説。たくさん語っていたらなんと。
『お前は、好いた女性を道具としか見ないのか』
――と、一発。拳骨を食らったらしい。
けれど、その一言で十分だった。祖父もいろいろ考えたらしく、父の気持ちをもっと考えるべきだったと猛省したらしい。
そして無事に。ついに。やっと。ようやく。……二人は籍を入れることができた。彼らの嬉しそうな顔は、今でも。これからも決して、忘れることはないだろう。
「着いたよ」
「お! もう? 思ったより早かったね~」
「だね。俺、こういうのって初めてだから、すごく楽しみだよ!」
「うんっ。きっと楽しくなるよ!」