誰にでも優しいくせに、私だけに本気なんてズルい– 遊び人エリートのくせに、溺愛が止まらない –
翌日から、またいつもの仕事が始まった。

「この書類と、現金出納帳を見合わせて確認してくださいね。」

私は、美羽さんに細かいチェックポイントを説明していた。

すると、少し離れたデスクから、上林さんのため息が聞こえてくる。

「はぁ……最近、つまらないわね。」

思わず振り返ると、彼女は机に肘をついて、退屈そうに言った。

「何がつまらないんですか?」

「最近ね、噂を聞かないのよ。桐生部長の。」

ドキリとした。

美羽さんもペンを持つ手を止める。

「いや、桐生部長だって、体休める時くらいは……」

なんとか言い訳を口にしたけれど、内心では動揺していた。

「今まで休まずに動いてた男が、いきなり休む? あり得ないわよ。」

上林さんは腕を組み、顎に指を当てながら、何かを探るような目をした。

「まさか……本命ができたとか?」
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