誰にでも優しいくせに、私だけに本気なんてズルい– 遊び人エリートのくせに、溺愛が止まらない –
「紗英は、どんな男がタイプなの?」

不意に聞かれたその問いに、私はすぐには答えられなかった。
だけど、本当はとっくに決まってる。
セクシーで、男らしくて、ちょっと危険で……。

「優しくて、私だけを見てくれる人です。」

少しだけ、意地を張って答えた。

でも、その瞬間――

「でも、“危険な男”も嫌いじゃない。」

そう囁かれて、ドキンと胸が跳ねた。

「……桐生部長が?」

「そう言う男になるから。」

まただ。そうやって私の心をかき乱す。

距離を詰めてくるたびに、理性が削られていく。

「紗英を、落として見せる。」

目の前で真っ直ぐにそう言われて――

ああ。落ちた。

完全に、私はこの危険な男に。

戻れない。もう引き返せない。

その微笑みすら、罪になるのに。
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