誰にでも優しいくせに、私だけに本気なんてズルい– 遊び人エリートのくせに、溺愛が止まらない –
「優しいよ。誰にでも。でも、優しさに溺れると痛い目を見るの。」

その視線に、私は動けなくなった。

まるで――私の心を見透かすような、そんな目だった。

「……あの、それ、もう少し右に寄せましょうか。」

私はそれだけ言って、段ボール箱に視線を戻した。

心の中で、ざらついた何かが波打っていた。

部長……隼人さん……

私、ちゃんとあなたの「本気」を信じていいのかな。

「あなたから、付き合ってって言ったんでしょ。」

思わず、ちょっと意地悪な言い方になってしまった。

美羽さんは穏やかに笑ったまま、少しだけ視線を逸らしてから、まっすぐ私を見る。

「ええ。こんな男と、一度は付き合ってみたいって思ったの。」

あまりにもあっさりと答えるその態度が、逆に私の胸をざわつかせる。
< 98 / 291 >

この作品をシェア

pagetop