エンドロールは救いの詩を
ドタドタと足音を立てて入ってきたのは1人の女の子。
「助けに来ました!撃たれましたか?」
「見りゃわかんだろ!腹に一発撃たれたんだよ!」
敵マフィアに一発撃たれ、倒れている俺に朗らかな顔で話すキュースレー。
「おっとっと」
勢いよく入ってきた彼女はバランスを崩し、開けたままになっていた扉にぶつかる。その反動で扉が閉まり、パタンと音が鳴った。彼女は扉から目を離し、俺の方を向く。
「えへへ、じゃあ治しますね〜」
こんなよく分からない奴に助けられるのは癪な気持ちはあるが、全ての治癒をこの一族に依存しているこの世界で助けを拒んでしまったら、俺はこのまま息絶えてしまう。
仕方なくじっと治癒されるコトにした。
彼女は俺の腹に手を近づける。
手から光が放たれると同時に俺の腹の穴は塞がっていく。
「よし!治った」
来た時と同じ笑顔を彼女は俺に向けた。
「あー、ざっす...」
「はい!ではお支払いお願いします!」
「はぁ...。カードでいいっすか?」
不思議な力で治してはいるが、昔の医療と変わらずお金は取り立てられる。
「はーい!大丈夫です!」
そして俺は金を払い、立ち上がる。
「それじゃ」
俺はこの場から去る為ドアノブを回す。しかしどれだけ回しても扉が開くコトはなかった。
「あん?」
「どうしたんですか?」
彼女も不思議そうに見ている。
開かないんすよと伝えようとした瞬間に、ここに来る前に俺の仲間が言っていたコトを思い出した。
『その部屋外から入る方法は分かったんだけど、中から出る方法はまだ解析できてないんだよね。もしもう行くなら入った後絶対に扉は閉めないコト。分かった?』
「あー...。そういや言ってたなぁ...」
「なんですか?」
「どうやら閉じ込められたっぽいです」
「えー!?!??」
彼女の大きな声が耳に響く。
「すぐ仲間に連絡取って出してもらうんで、じっとしててください」
「は、はい...」
不安そうな彼女を横目に俺は仲間と連絡する為スマホを取り出す。
扉の忠告をした仲間に電話をかけるとすぐに出た。
『おー、どうした??』
「今朝言ってた部屋の扉あんじゃん?間違って閉めちまった」
『もー何やってんの。それで?迎えに来て欲しいってコト?』
「そーゆうこと」
『はいはい。で、金庫には何か入ってたの?』
「すっからかんだった」
『マジで何やってんの...。まぁいいや。すぐ行くから待ってて』
「さんきゅー」
電話を切り、横を見ると近くにいるはずの彼女が消えていた。
周りを見ると金庫の影からこちらを不安そうに見ている彼女がいた。
俺は彼女に近づく。
「なーにやってんすか?」
「え、あ、いや、あの、その...」
案の定ビビられてるなぁ〜と心の中で思う。
「別に取って食ったりはしないんで大丈夫っすよ」
「ほ、本当ですか...?」
「そこらにいるチンピラと同じにしないでください。俺は撃たなきゃいけない相手にしか撃ちません」
「数分前までは撃たれてお腹に穴開けてたのに...」
「あれはたまたまです」
どんな重症を負ってもキュースレーさえ居れば助かる。そんな思いにより、行動が甘くなってしまっていたのだろう。気を引き締めないとと心で決意する。
「そもそもここに閉じ込められたのも、あんたが扉しめちゃったからっすよ?」
「えぇ!?そうなんですか!?」
「はい。せっかく出られるように扉開けっぱなしにしといたのに」
まぁ閉められるまで、開けっぱなしにしとかなきゃいけないコトは忘れていたけどねとは言わなかった。
「えぇぇ...ごめんなさい...。マフィアさんをこんな所に閉じ込めてしまって...」
彼女が泣きそうになりながら謝ってきた。
その姿を不覚にも可愛いと思った。
「まぁ今日はもう休むつもりだったし良いっすよ」
そう言いながら俺は床に寝転ぶ。それを見た彼女は俺の隣にちょこんと座る。
「それなら良かったです。もうお腹に穴なんて開けちゃダメですよ?」
「んー、それはどうっすかねぇ〜」
どこに敵がいるのか分からない。それはいつでも撃たれる可能性はあるコトを意味していた。
「もぉ〜マフィアさんは悪い人ばっかり」
「悪いからマフィアなんすよ」
横でぷんすかするキュースレー。何度か助けてもらったコトはあったが、こんな風にキュースレーと普通に話したコトはなかった。
「そういえばさっき私のコトあんたって言いましたけど、ナナって名前がちゃんとあるので、名前で呼んでください!」
「え...」
太陽のような笑顔で言うキュースレー。
マフィアの仲間になる時の紹介はもっと重々しい空気の中で行う為、こんな真っ直ぐな自己紹介は初めてで、思わずドキドキした。
「あー、じゃあナナ...さん...」
「はい!なんですか?マフィアさん!」
満面の笑みで顔を近づけるナナに思わず驚く。
そんな俺を気にも止めず、ナナは笑顔のまま俺を見つめる。
「お、俺にもリクって名前があるんで、名前で呼んでください」
「分かりました!リクさん!」
なんだこの子供みたいなやり取りは...。仲間に見られたら絶対馬鹿にされる...。そう思った時だった。
「なーにやってんすか?」
「わぁ!?」
急に聞こえてきた声に俺は声をあげる。
そこにはさっき電話で助けを求めた仲間であるアキがニヤニヤした顔でいた。
「こんにちわ〜。何やら仲良さそうに話してましたね〜。一緒に閉じ込められてたんですか?」
「え、あの、はい...」
ナナは急に現れた俺以外のマフィアに怖がっているようだった。
「そんな怯えなくても大丈夫だよ〜。僕は優しいマフィアさんだから〜」
子供をあやす様に優しく言うアキ。こう言いつつも冷酷な目で暗殺をしている時のアキを思い出し、怖い男だと心の中で思う。
そうとは知らないナナはアキの言葉を信じ、安心した顔になる。
「優しいマフィアさんなんですね!良かったです!扉も開けてくれたんですね!」
「そうだよ〜。こーんな怖い顔のマフィアと2人っきりなんて緊張したでしょ?大丈夫?」
「いえ!優しくお話ししてくださったので楽しかったです!」
「ふ〜ん」
ニヤニヤした顔でアキが俺の方を見る。
その顔やめろと俺は視線で訴える。
「まぁいいや。じゃあさっさとここを出ようか」
「はい!そうしましょう!」
そしてアキとナナが並んで歩く。
「ほら!リクさんも行きますよ!」
ナナが振り返り、俺に声を掛ける。
「はーい」
俺も2人の後をついていく。
そして俺たちは外に出て、ナナと別れた。
「助けに来ました!撃たれましたか?」
「見りゃわかんだろ!腹に一発撃たれたんだよ!」
敵マフィアに一発撃たれ、倒れている俺に朗らかな顔で話すキュースレー。
「おっとっと」
勢いよく入ってきた彼女はバランスを崩し、開けたままになっていた扉にぶつかる。その反動で扉が閉まり、パタンと音が鳴った。彼女は扉から目を離し、俺の方を向く。
「えへへ、じゃあ治しますね〜」
こんなよく分からない奴に助けられるのは癪な気持ちはあるが、全ての治癒をこの一族に依存しているこの世界で助けを拒んでしまったら、俺はこのまま息絶えてしまう。
仕方なくじっと治癒されるコトにした。
彼女は俺の腹に手を近づける。
手から光が放たれると同時に俺の腹の穴は塞がっていく。
「よし!治った」
来た時と同じ笑顔を彼女は俺に向けた。
「あー、ざっす...」
「はい!ではお支払いお願いします!」
「はぁ...。カードでいいっすか?」
不思議な力で治してはいるが、昔の医療と変わらずお金は取り立てられる。
「はーい!大丈夫です!」
そして俺は金を払い、立ち上がる。
「それじゃ」
俺はこの場から去る為ドアノブを回す。しかしどれだけ回しても扉が開くコトはなかった。
「あん?」
「どうしたんですか?」
彼女も不思議そうに見ている。
開かないんすよと伝えようとした瞬間に、ここに来る前に俺の仲間が言っていたコトを思い出した。
『その部屋外から入る方法は分かったんだけど、中から出る方法はまだ解析できてないんだよね。もしもう行くなら入った後絶対に扉は閉めないコト。分かった?』
「あー...。そういや言ってたなぁ...」
「なんですか?」
「どうやら閉じ込められたっぽいです」
「えー!?!??」
彼女の大きな声が耳に響く。
「すぐ仲間に連絡取って出してもらうんで、じっとしててください」
「は、はい...」
不安そうな彼女を横目に俺は仲間と連絡する為スマホを取り出す。
扉の忠告をした仲間に電話をかけるとすぐに出た。
『おー、どうした??』
「今朝言ってた部屋の扉あんじゃん?間違って閉めちまった」
『もー何やってんの。それで?迎えに来て欲しいってコト?』
「そーゆうこと」
『はいはい。で、金庫には何か入ってたの?』
「すっからかんだった」
『マジで何やってんの...。まぁいいや。すぐ行くから待ってて』
「さんきゅー」
電話を切り、横を見ると近くにいるはずの彼女が消えていた。
周りを見ると金庫の影からこちらを不安そうに見ている彼女がいた。
俺は彼女に近づく。
「なーにやってんすか?」
「え、あ、いや、あの、その...」
案の定ビビられてるなぁ〜と心の中で思う。
「別に取って食ったりはしないんで大丈夫っすよ」
「ほ、本当ですか...?」
「そこらにいるチンピラと同じにしないでください。俺は撃たなきゃいけない相手にしか撃ちません」
「数分前までは撃たれてお腹に穴開けてたのに...」
「あれはたまたまです」
どんな重症を負ってもキュースレーさえ居れば助かる。そんな思いにより、行動が甘くなってしまっていたのだろう。気を引き締めないとと心で決意する。
「そもそもここに閉じ込められたのも、あんたが扉しめちゃったからっすよ?」
「えぇ!?そうなんですか!?」
「はい。せっかく出られるように扉開けっぱなしにしといたのに」
まぁ閉められるまで、開けっぱなしにしとかなきゃいけないコトは忘れていたけどねとは言わなかった。
「えぇぇ...ごめんなさい...。マフィアさんをこんな所に閉じ込めてしまって...」
彼女が泣きそうになりながら謝ってきた。
その姿を不覚にも可愛いと思った。
「まぁ今日はもう休むつもりだったし良いっすよ」
そう言いながら俺は床に寝転ぶ。それを見た彼女は俺の隣にちょこんと座る。
「それなら良かったです。もうお腹に穴なんて開けちゃダメですよ?」
「んー、それはどうっすかねぇ〜」
どこに敵がいるのか分からない。それはいつでも撃たれる可能性はあるコトを意味していた。
「もぉ〜マフィアさんは悪い人ばっかり」
「悪いからマフィアなんすよ」
横でぷんすかするキュースレー。何度か助けてもらったコトはあったが、こんな風にキュースレーと普通に話したコトはなかった。
「そういえばさっき私のコトあんたって言いましたけど、ナナって名前がちゃんとあるので、名前で呼んでください!」
「え...」
太陽のような笑顔で言うキュースレー。
マフィアの仲間になる時の紹介はもっと重々しい空気の中で行う為、こんな真っ直ぐな自己紹介は初めてで、思わずドキドキした。
「あー、じゃあナナ...さん...」
「はい!なんですか?マフィアさん!」
満面の笑みで顔を近づけるナナに思わず驚く。
そんな俺を気にも止めず、ナナは笑顔のまま俺を見つめる。
「お、俺にもリクって名前があるんで、名前で呼んでください」
「分かりました!リクさん!」
なんだこの子供みたいなやり取りは...。仲間に見られたら絶対馬鹿にされる...。そう思った時だった。
「なーにやってんすか?」
「わぁ!?」
急に聞こえてきた声に俺は声をあげる。
そこにはさっき電話で助けを求めた仲間であるアキがニヤニヤした顔でいた。
「こんにちわ〜。何やら仲良さそうに話してましたね〜。一緒に閉じ込められてたんですか?」
「え、あの、はい...」
ナナは急に現れた俺以外のマフィアに怖がっているようだった。
「そんな怯えなくても大丈夫だよ〜。僕は優しいマフィアさんだから〜」
子供をあやす様に優しく言うアキ。こう言いつつも冷酷な目で暗殺をしている時のアキを思い出し、怖い男だと心の中で思う。
そうとは知らないナナはアキの言葉を信じ、安心した顔になる。
「優しいマフィアさんなんですね!良かったです!扉も開けてくれたんですね!」
「そうだよ〜。こーんな怖い顔のマフィアと2人っきりなんて緊張したでしょ?大丈夫?」
「いえ!優しくお話ししてくださったので楽しかったです!」
「ふ〜ん」
ニヤニヤした顔でアキが俺の方を見る。
その顔やめろと俺は視線で訴える。
「まぁいいや。じゃあさっさとここを出ようか」
「はい!そうしましょう!」
そしてアキとナナが並んで歩く。
「ほら!リクさんも行きますよ!」
ナナが振り返り、俺に声を掛ける。
「はーい」
俺も2人の後をついていく。
そして俺たちは外に出て、ナナと別れた。