すべての花へそして君へ③
第13章

『……一つ、訊かせて欲しい』


 ――何故君は、信じられるのだろうか。


『どうしてあなただったのか』

『…………』

『じゃあ、どうしてだと思います?』

『……え』

『どうしてあなたは、わたしのこと信じてくれるんですか?』

『いや、俺は……』

『信じてるでしょう?』

『…………』

『あなたはわたしのことを信じてる。信じられるのは……何故?』

『……それ、は……』


 この、腐りきった世界を変えられる。歪み、蔓延る黒から救えると思った。
 俺には彼女が、一縷の光に見えたんだ――……。


< 109 / 661 >

この作品をシェア

pagetop