すべての花へそして君へ③

 なんとか必死に応え、そしてついて行って。ようやく彼の本気とやらに、ほんのちょびっと慣れた頃。
 ふと、気付いた。今さっきヒナタくん、一日かけてって言った? 言ったよね多分。


「いや、ヒナタくんそれは不味いわ」

「手退けて、ブラ外せない」

「一日かけてたら一日が終わるじゃん!」

「は? 当たり前でしょバカ」

「今日はいろいろやることがあるんだよ」

「それはまた今度でいい」

「ダメだよ。初詣は新年の始まりの日に行かなきゃ」

「……だったらさっさと行ってさっさと帰ってくれば」

「あとわたしの仕事についても、もう今日一気に済ませちゃおうかと思って。その連絡を朝方仕事場に入れたので」

「キャンセル」

「できればいいんだけど、多分無理そう……というか、機嫌悪くなるからできれば避けたいなあと」

「はああああ」


 ど、どえらい長いため息デスネ。


「オレの機嫌はどーでもいいんだ」


 拗ねさせちゃった。続けて、ふうと小さく息を吐いた彼は、戦闘態勢を解いてごろんと隣へ横になる。


「ほら。やっぱり馬鹿を見るのはオレの方」

「そんなことないよ」

「いいんだよ別に。前も言ったと思うけど、オレは別に、あんたの体目的で好きになったわけじゃないんだし」

「ヒナタくんがよくても、わたしはもう無理なんだけど」

「ならする? 続き」

「それは……」

「ほら。たまにはオレの気持ち味わってみたら? そしたらちょっとは反省するかもよ」

「…………」


 ヒナタくんはどこか楽しそうに笑いながら、むすっと黙ったわたしのほっぺたをむにっと摘まむ。結局は、理性が戻ってくるんだから。


「……怒った?」

「怒ってはないけど」

「ないけど?」

「……今晩も、泊まっていい?」

「…………」

「充電させて欲しい。いっぱい。余るくらい。ヒナタくんのこと」


 でも、再びため息を落としたヒナタくんの回答はバツ。今日は大人しく、お家に帰りなさいと言われました。


「オレが泊まりに行く」

「え?」

「確かに、正直何差し置いてでも充電しておきたいとこだけど」

「先に報告、だね」

「あと、新年の挨拶も」

「それじゃあわたしも!」


< 236 / 661 >

この作品をシェア

pagetop