すべての花へそして君へ③
ぎゅっと、強まる腕は照れ隠しか。喜びを噛み締めているのか。擦り寄る頬は、甘えているのか。どうしようもないバカだなって、呆れているのか。
でも一つ、確かなことは。……ドキドキって、心臓がうるさく鳴ってる。
「それについては、どんな補助がつくのか楽しみで仕方がないところだけど」
「え? あ、あははは」
「……ありがとう」
「ひなたくん……」
「オレはまだ、それを受け取るだけしかできないけど。でも」
「来年ヒナタくんも同じの書けばいいんだよ!」
「それはやだ」
「なんでえ!?」
「バカップルだと思われたくない」
「た、確かに。ヒナタくんまで書いちゃうと正真正銘のバカなカップル公認に……」
軽く、音を立てて唇が頬に触れた。啄むような口付けが頬に何度も寄せられ、甘えるような仕草に、胸の奥がむずがゆくって、くすぐったい。
どれくらいそうされていたか。満足したのか、こつんと、おでこ同士がぶつかる。
「わかった降参。オレの負け」
「え?」
「しょうがない。何をとっても、あんたには敵わないもんね。甘んじて受け入れよう」
「……そんなことないのに」
「プライド折ってあげるんだから、感謝してよ」
「……ヒナタくん」
「本当は止めたい気持ちが強い。いろんなことを、あんたは絶対、やろうと思ったらとことん無理するんだろうし。体を張ってでも止めるのが男としては正解なんだろうけど、まあ多分聞かないし。オレが吹っ飛ばされるし」
「たまには聞く時もあると思うの」
「でもやっぱり、背中を押してやりたい。危ないことにはもうなるべく首を突っ込むなっていうのがオレの本音だし我が儘でもあるけど」
「……ひなた、くん」
「でも――」と。気付けばスルリと。左手首に、何かが結ばれていく。
どこかで見たことある。これは……。
「オレの誓いは、あんたをずっと笑顔でいさせること」
「……うん」
「オレの願いは、あんたがいつも隣で笑ってくれること」
「……うんっ」
結んだそれに、触れる。その上から、彼の手が重なってくる。
「幸せって、確かに人それぞれだと思うよ。いろんなタイミングで、感じることだと思うし。……でも」
再び、額同士がぶつかる。そっと囁く言葉に、胸が熱くなる。
「あんたが。……あおいが、幸せだと感じる時に、いつも隣にいさせて欲しい」
「……ひ、な」
「あおいが好きだよ。誰よりも、何よりも」
「……わた。し、も……っ」
いつの日か。この左手に結ばれたオレンジのミサンガが切れた時。
君が、隣にいてくれますように。君の、隣にいますように。共に、笑っていますように。
「ああもう。そんなに泣いたら、オレが後でみんなにどやされるんだけど」
「……っ、ご、ごめ」
「それにまだ終わってないし」
「ふぇ……っ?」
まだ? まだ何かあるの……?
泣きすぎてぼーっとしているせいか。何も考えられないまま、彼がわたしの首から何かを外していく。