すべての花へそして君へ③
『――いい? 二人には絶対に、何が何でもバレないように』
『そりゃわかってますけど』
『失敗したら責任とってもらうからね』
『は? 責任って――』
「……んっ」
「あれ。苦手だった? 白ワイン」
「いや美味いよ」
「……じゃあ、何かあった?」
嫌なことを思い出した――なんて、折角のワインを台無しにするようなことは避けたい。
それとなく、適当に誤魔化しておいた。
「けど、事前に連絡一本くれていれば、当日こんなバタバタすることはなかったのに。おかげで貴重な商談時間が潰れた潰れた」
「わ、悪かったって」
流石にエントランスでオープンに未成年が酒を飲んでいては不味いので、場所を個室に移し、俺たちは再び飲み直していた。
『わかってないなー。いいかい? 社会に出たら失敗なんて大抵の場合は許されない。求められるのはノーミスが絶対』
『わかりましたわかりました。バレないよう慎重に、且つ迅速に頑張りますよ』
『そう? ならよかった。それで責任についてだけど』
『だから、大丈夫ですって』
『失敗したら、“あの事”バラしちゃうからね』
『は?』
『バラされたくなかったら、死に物狂いで頑張ってね~』
『ちょ、あの事って何のこと言って――』