すべての花へそして君へ③

久々デートの終わりに


 最後にツバサくんに会ってから、一ヶ月が経ったある日。久し振りに合わせた休日で、いつ振りかのデートを楽しんだ。


「てか、久々のデートが式場巡りでよかったの」

「え? 寧ろダメだった?」

「ダメではないよ。期待を大幅に外されはしたけど」

「え。なんかごめんね?」


 でもねヒナタくん。今日のデートは、やっぱりこれで正解だったと思うんだ。


『あのね、今からすごいこと言うから。よく聞いて』

『え? う、うん』

『時間はね、絶対待ってはくれないんだよ』

『……そうだね?』

『時間は、自分で作りにいかないとダメなんだよ』

『……そうだね』

『だから、そろそろいいんじゃないかと思うんだよね、オレ』

『え? 何が?』

『結婚式』

『……へ』

『挙げようよ』

『ひなたくん……』


 おかげで今日は、三つも式場が回れたよ。お料理だって食べられたし、ドレスの試着までさせてもらえたよ。ちょっと、いやだいぶお腹キツかったけど。


「あんたが楽しかったんなら、それで十分。オレも楽しかったし」

「……そっか!」


 今日の戦利品を吟味して、いっぱい時間をかけて悩んで、わたしたちだけの素敵な結婚式にしようね。
 むぎゅっと腕に抱き付くと、「やっぱ太ったね」なんて呟かれたけど。それに関しては、手の甲を一回抓っておくだけで許してあげた。

 せっかくのデートに喧嘩は無し無し! だって、今日のメインイベントはこれから始まるんだもの!


「チカくーん! 今日はお招きありがとう!」

「いらっしゃい。みんな来てんぞ」


 来月からオープンするチカくんの小料理屋。今日は、これからみんなでそれのお祝いをするのだから。


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