すべての花へそして君へ③
どうやら次のロケ地が京都らしく、今回は急ぎで探しているわけではないようだ。しばらくは、実家から仕事場まで行くらしい。しょうがないから、こっちに帰ってくる間に一番いい物件を、一番最安値まで下げられるよう交渉しておいてやろう。
「……っと。そうだ日向。来月末いつか時間取れるか」
「……? まあ大丈夫だと思うけど」
何かあったっけ?
煙草の先を落としながら考えること数秒。もしかしてと。とある考えに行き着いた。
「一応連絡は来てるけどさ、どうせならみんなで行って祝ってやりたいなと思ってさ」
「それ、超名案なんだけど」
今頃寝落ちしているだろう彼女にも、早速声をかけておこう。明日の朝も、早く起きられそうだ。