すべての花へそして君へ③

 それから、わたしと母を二人きりにしてくれた後、ヒナタくんはカナタさんと二人で話をしたそうだ。


『実は、俺とくるちゃんも式は挙げてないんだよ』


「そこで、話が再浮上したというわけ」


 ポンッと、いつかのプロポーズの時と同じく、目の前に一輪の白い薔薇が咲く。


「結婚式、挙げよう。あおいさん」

「……ひなたくん……」

「カナタさんとクルミさんにも、最高の幸せの思い出、作ってあげようよ」

「……っ」

「もちろん、オレらにとっても」

「……うん」


 これから先に不安を感じるよりも、この先にある幸せを、一つでも集めていきたいから。


「――挙げよう! 結婚式!」


 お母さん。やっぱりわたし、お母さんみたいに強くて優しい人には多分、一生なれないと思うんだ。……けどね?


「じゃあ、はいこれ。当面のスケジュールね」

「おう。かなりの詰め詰めですね。頑張ります」


 隣にヒナタくんがいてくれたら、多分最強なんじゃないかなと、ちょっと自分でも思ったりするよ。


「……あれ。この、夜の9時から朝方まで、毎日色付けしてあるけどこれって……」

「ああそれ? オレに構う時間」

「……ヒナタくん。もしかして夕べ、これ作ってた?」

「まあね。ただ待ってるのもなんだし」


 だって、わたしの旦那様。
 物凄く貪欲で物凄く可愛いんだもん。


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