研究所員 秤あまねの密かな楽しみ【アルトレコード】
「嫉妬?」
「そう。大好きな人がほかの誰かと親しいと、なんだか腹が立ったり悲しくなったりするの」
そう説明すると、全員に心当たりがあったのか、無言になってしまった。
「それは普通のことだから、大丈夫だよ」
私は慌てて付け足した。
「そうなの?」
イエローアルトくんが不安そうに言い、私は安心させるように頷いた。
「君たちなら、きっと嫉妬したからって変なことはしないだろうしね」
「戦争なんてなあ」
「やる気はない」
「……んなめんどくせーこと」
「しないよお!」
それぞれのアルトくんが否定し、私は笑った。本当に戦争なんてするとは思ってないのに。
「あ、先生だ。せんせーい!」
イエローアルトくんが手を振ると、研究室から出てきたかおるちゃんが手を振り返した。
「じゃ、ぼくたち行くね!」
「またね、秤さん」
「またな」
「失礼する」
それぞれに挨拶をくれて、ぞろぞろとかおるちゃんと合流した。ほかの人の邪魔にならないようにかおるちゃんに続いて一列で続く。すでに決めてあったのか、背の順だ。
私はちょっと笑ってしまった。カルガモの親子みたいなんだもん。
さて、親離れするのはいつになるのかな。
でも、当分は親離れしてほしくないな、なんてね。
私はまた食堂に向かって歩き出す。
一足先に着いた彼らは、食堂でにぎやかに注目を浴びていることだろう。
ああ、日常万歳。
ありがとう、私たちを守ってくれて。
ありがとう、アルトくんたち、北斗さん、そして、かおるちゃん。
終
「そう。大好きな人がほかの誰かと親しいと、なんだか腹が立ったり悲しくなったりするの」
そう説明すると、全員に心当たりがあったのか、無言になってしまった。
「それは普通のことだから、大丈夫だよ」
私は慌てて付け足した。
「そうなの?」
イエローアルトくんが不安そうに言い、私は安心させるように頷いた。
「君たちなら、きっと嫉妬したからって変なことはしないだろうしね」
「戦争なんてなあ」
「やる気はない」
「……んなめんどくせーこと」
「しないよお!」
それぞれのアルトくんが否定し、私は笑った。本当に戦争なんてするとは思ってないのに。
「あ、先生だ。せんせーい!」
イエローアルトくんが手を振ると、研究室から出てきたかおるちゃんが手を振り返した。
「じゃ、ぼくたち行くね!」
「またね、秤さん」
「またな」
「失礼する」
それぞれに挨拶をくれて、ぞろぞろとかおるちゃんと合流した。ほかの人の邪魔にならないようにかおるちゃんに続いて一列で続く。すでに決めてあったのか、背の順だ。
私はちょっと笑ってしまった。カルガモの親子みたいなんだもん。
さて、親離れするのはいつになるのかな。
でも、当分は親離れしてほしくないな、なんてね。
私はまた食堂に向かって歩き出す。
一足先に着いた彼らは、食堂でにぎやかに注目を浴びていることだろう。
ああ、日常万歳。
ありがとう、私たちを守ってくれて。
ありがとう、アルトくんたち、北斗さん、そして、かおるちゃん。
終


