研究所員 秤あまねの密かな楽しみ【アルトレコード】
「かおるちゃんは全員を好きだと思うよ」
「えー、無難な答え」
イエローアルトくんは不満そうに口をとがらせる。
「アルトくん、それは他の人には言わないほうがいいよ。みんなパリスにはなりたくないだろうし、戦争を起こしたくないだろうからね」
「戦争? どういうこと?」
イエローアルトくんは首を傾げる。
「秤さんはトロイア戦争のことを言っているのだろう』
「なんだそれ?」
ブルーアルトくんの説明に、オレンジアルトくんが尋ねる。
「あれじゃね、実際にトロイア戦争はあったけど、秤さんが言ってるのはギリシャ神話のほう。不和の女神エリスが、『世界で一番しい女性に黄金のりんごを』って投げたせいで、ヘラとアテナとアフロディーテが争ったってやつ。裁定を人間のパリスに頼んだら、パリスがアフロディーテの甘言にのってアフロディーテが一番美しいって言っちゃってさ」
レッドアルトくんが言うと、ブルーアルトくんが頷く。
「そうだ。それで、アフロディーテはパリスに約束した通りに、人間で一番美しい女を彼の妻にした。だが、彼女はスパルタ王の妃だったため、取り戻すために戦争となった。同時にそれは神のメンツをかけた戦いとなった」
「うわー、なにそれ、むちゃくちゃ!」
イエローアルトくんは驚き、口をぱかーんと開けた。
「……んな戦争、俺達はやらねーよ」
「まあ、そうだろうけど。誰が一番か、なんて……あ、そうか。嫉妬を感じるまでに成長したんだね、君たち」
私の言葉に、オレンジのアルトくんが首を傾げる。
「えー、無難な答え」
イエローアルトくんは不満そうに口をとがらせる。
「アルトくん、それは他の人には言わないほうがいいよ。みんなパリスにはなりたくないだろうし、戦争を起こしたくないだろうからね」
「戦争? どういうこと?」
イエローアルトくんは首を傾げる。
「秤さんはトロイア戦争のことを言っているのだろう』
「なんだそれ?」
ブルーアルトくんの説明に、オレンジアルトくんが尋ねる。
「あれじゃね、実際にトロイア戦争はあったけど、秤さんが言ってるのはギリシャ神話のほう。不和の女神エリスが、『世界で一番しい女性に黄金のりんごを』って投げたせいで、ヘラとアテナとアフロディーテが争ったってやつ。裁定を人間のパリスに頼んだら、パリスがアフロディーテの甘言にのってアフロディーテが一番美しいって言っちゃってさ」
レッドアルトくんが言うと、ブルーアルトくんが頷く。
「そうだ。それで、アフロディーテはパリスに約束した通りに、人間で一番美しい女を彼の妻にした。だが、彼女はスパルタ王の妃だったため、取り戻すために戦争となった。同時にそれは神のメンツをかけた戦いとなった」
「うわー、なにそれ、むちゃくちゃ!」
イエローアルトくんは驚き、口をぱかーんと開けた。
「……んな戦争、俺達はやらねーよ」
「まあ、そうだろうけど。誰が一番か、なんて……あ、そうか。嫉妬を感じるまでに成長したんだね、君たち」
私の言葉に、オレンジのアルトくんが首を傾げる。