ラストランデヴー
「みどり……」
「私、田島部長と堂々と恋をしたいです。普通の恋人がするデートもしてみたいし、田島部長のおうちにも行ってみたい」
クスッと笑う声が聞こえてきた。途端に私の顔は真っ赤になる。
「嬉しいよ」
そう言って彼は私の左腕をつかみ、銀色に光るリングを私の薬指にはめた。
私の指にすんなりと馴染むシンプルなデザイン。
「これは……?」
「俺の愛と勇気の結晶。みどりにあげる。いらないなら捨てていい」
信じられない言葉が彼の口から飛び出す。
この1年間、心の奥底でひたすら求め続けたものが、私の薬指でキラキラと輝いていた。
「何があっても絶対捨てません」
私は思わず左の薬指を右手で押さえた。田島部長は楽しそうにクスクス笑う。
「じゃあ明日、うちにおいで。両親に紹介するから」
「え? えええーっ!?」
「ごめん。言ってなかったよね。俺、実家に住んでて、気軽にみどりを連れて行けるような状況じゃなくてさ」
私はいったいどこまで思い込みの激しい人間なのだろう。
そして決死の覚悟で別れを告げた私の勇気はいったいなんだったのだろう。
情けないやら、恥ずかしいやら、それに気が抜けてホッとしたせいか、おかしくて仕方がなかった。
涙を流しながら笑う私に、田島部長は優しいキスを落としていく。額に、頬に、鼻の頭に、唇に……。
そのたび私の心にポン、ポンとターコイズブルーの傘が開いた。
雨の日の憂鬱を吹き飛ばしてくれるように、と選んだ爽やかな緑がかった青色。しのいでくれるのは冷たい雨粒だけではなかったと今になって気がつく。
あの傘、今はどこにあるのだろう。
今度実家に戻って探してみようと思った。
もちろん、そのときは彼と一緒に――。
◇ END ◇
「私、田島部長と堂々と恋をしたいです。普通の恋人がするデートもしてみたいし、田島部長のおうちにも行ってみたい」
クスッと笑う声が聞こえてきた。途端に私の顔は真っ赤になる。
「嬉しいよ」
そう言って彼は私の左腕をつかみ、銀色に光るリングを私の薬指にはめた。
私の指にすんなりと馴染むシンプルなデザイン。
「これは……?」
「俺の愛と勇気の結晶。みどりにあげる。いらないなら捨てていい」
信じられない言葉が彼の口から飛び出す。
この1年間、心の奥底でひたすら求め続けたものが、私の薬指でキラキラと輝いていた。
「何があっても絶対捨てません」
私は思わず左の薬指を右手で押さえた。田島部長は楽しそうにクスクス笑う。
「じゃあ明日、うちにおいで。両親に紹介するから」
「え? えええーっ!?」
「ごめん。言ってなかったよね。俺、実家に住んでて、気軽にみどりを連れて行けるような状況じゃなくてさ」
私はいったいどこまで思い込みの激しい人間なのだろう。
そして決死の覚悟で別れを告げた私の勇気はいったいなんだったのだろう。
情けないやら、恥ずかしいやら、それに気が抜けてホッとしたせいか、おかしくて仕方がなかった。
涙を流しながら笑う私に、田島部長は優しいキスを落としていく。額に、頬に、鼻の頭に、唇に……。
そのたび私の心にポン、ポンとターコイズブルーの傘が開いた。
雨の日の憂鬱を吹き飛ばしてくれるように、と選んだ爽やかな緑がかった青色。しのいでくれるのは冷たい雨粒だけではなかったと今になって気がつく。
あの傘、今はどこにあるのだろう。
今度実家に戻って探してみようと思った。
もちろん、そのときは彼と一緒に――。
◇ END ◇


