ミッシング/サーチャー

迷子

「ツバサの好きな鳥柄のノート、勝っといたからねー!」
「ありがとう」
「だる〜い次どこ行く〜」
「みんなー!行きたいところある?」
欲しいものあるかな…?
「シオンはヘアピン欲しいかも〜」
「ヘアピン?」
「最近つけてみようかな〜って思ってる〜」
「じゃあそこ行こ〜私は行くとこ別にないから〜」
「じゃあどうしてきたんですか?」
「いや、みんなといないと落ち着かないし〜」
マレイはやっぱみんなのこと気にしてくれてるなあ。
「あの〜私トイレ行きたいんだけど」
チヒロちゃんトイレ行きたいの?
「じゃあ、私はチヒロとあっちへ行ってきますから、
マレイとセイラとシオンはここで待っててください」
「わかった!」
「いってら〜」
うーん、チヒロちゃんが戻ってくる間暇だし、何か話そうかな?
でも何話そう。
「マレイー!」
「あ?」
「マレイは家いる時暇なの?」
「うーん特にだらだらするだけだし。せっかくだし外出しようってのもある」
「確かに…」
「私は別に欲しいものないし…」
でもせっかくここにきたんだし、何か楽しんで欲しい。
「あ、そういえば、ここに新しいゲームセンターができたみたいだよ!」
「え?そう?」
「マレイゲーム好きだよね?だったらみんなで勝負とかできそうじゃない?」
「いいんじゃない〜?行く〜」
「じゃあ、後でみんなに伝えるね…」
ん?
あれ?
みんな?
「チヒロ様、戻りましたー⭐︎」
私とマレイと今戻ったチヒロとツバサ、4人。
…シオンは?
「あれ?ねえ、シオンは?」
「そういえばいませんね」
「ええ!?もしかしてシオンのことだし、先にヘアピンの店行ってしまったとか?」
チヒロちゃん感がいい。
「じゃあ、私とチヒロでヘアピンの店に行きますから、セイラとマレイはさっきのインフォメーションへ戻ってあの人に聞いてみてください」
ツバサがテキパキと指示を出す。
「わかった!行こう!マレイ」
「うん〜」
シオン大丈夫かな?
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「すみませーん!!!」
「あら!さっきの方で…」
「女の子見かけませんでしたか!?」
「あら…さっきのお友達でしょうか?」
「青髪のツインテールでカチューシャつけて、これと同じ青色のネックレスをしている子…あ、写真見せます!」
ネックレスは私たちの親友の証として5人で勝ったものだ。
スマホを取り出してシオンの写真を探す。
「…あれ…」
え?どういうこと?
シオンの写真がない。
それだけじゃなくてみんなで撮った他の写真もない!
なんで!?アルバムまで作ったのに…
「セイラ~!シオンの写真がない〜」
「マレイも!?」
「お客様の名前はシオンさんですか?」
「…はい!」
「では、一応館内放送かけときますね」
「はい!頼みます!ありがとうございました!」
私とマレイはインフォメーションを去る。
『お客様に連絡します。迷子のご案内です。青色の髪の毛でツインテールで紫色のカチューシャをした、青木シオンちゃん、13才です…』
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さっき私たちが集合してた店まで戻る。
チヒロとツバサは見つかったのかな?
「私、チヒロとツバサの様子見てくる!」
「え〜?じゃあ私も行く〜」
「ダメ!」
最低でも1人はここにいて欲しい。戻る時の目印になるから。
「ごめんけどマレイはここにいて!」
「あ、ちょ…」
えっと…確か3階だっけ?ヘアピンの店。
エスカレーターで3階に行く。
あった!ヘアピンの店。
中に入ろう。
…え
「あれ?チヒロー?ツバサー?」
いない?
「いるならいるって言ってー?いないならいないって言ってー?」
いないらしい。
もしかしてすれ違っちゃったかな?
戻ろう…
はあ…疲れた…
でもどこにいるかも分からないシオンを放っておくわけにはいかないよ…
つるっ
「おわっ!?わわわわわ…ぎゃあ!」
ドシン!
「いったー…ってえ!?」
ネックレスの紐にある球が落ちてる!
さっきはこれで滑ったんだ…
しかも金色でそばには青色のクリスタルまで…
「シオンのネックレス!」
私たちの友情の証のネックレス!
なんでこんなところに散らばってんの!?
「まさか…すぐそばにいる!?」
向こう側を見てみる。
ドォン。
…え?
今、誰かに押された?
でも気づけば遅かった。

もう私の体は真っ逆さまに宙に浮いてた。

「…え?」
ドシィィィィィィィィン!!!!
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…あれ
私…
確か…
3階から向こう見たら1階に落ちて…
痛い
ここで…死ぬの…?
こんなくだらない死に方で…
友達を残して…
チヒロ…
マレイ…
ツバサ…
シオン…
ごめ…ん
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