ミッシング/サーチャー

①ルート

エスカレーターは止まっているみたいだし、階段で三階に行ってみよう。
どうせエレベーターも使えない。
元は非常用だから、って、早くしないと!

…別に何か化け物が出てくるわけでもないのに、なんで私はこんなに怯えてるんだろう。
ここが怖いから?
みんながいないから?
わからないけど、三階に行ってみよう。シオンがいるはず…
にしても辛いなあ…私運動神経超をつけてもいいほど皆無だからなあ。

「きゃああああああああああああああああああ」

「…え?」
上から小さいけど声が聞こえた。
それも叫び声。
シオンの声だ!
やばい!何かあったんだシオンに!
階段を駆け上がるスピードが自然と早くなる。
「やだ!やだ!誰なの!いやあああああがあっ」
階段を上り切ったところ、エレベーターの方から声は聞こえてくる。
「シオン!」

「なっ…!?!?」

そこにいたのは、何かに首を吊られ死んでいるシオンだった。
シオンのそばに…誰かいる…
ショートヘアで、ピンクで…リボン…まみれ…で…
化け物…?
リボンで吊られたシオンが…
なんで?なんで?なんでシオンが死んでるの…!?
とてつもない経験したことのない恐怖が押し寄せてくる。
死んだシオンをリボンを切って投げ捨て、リボンの化け物がこっちに迫ってくる。
「やばい!!!」
シオンの脈だけ確認させて!
ミステリードラマでよくみるように、脈を確認する。
脈は…なかった。
「なんで…?」
すると私の目の前にリボンが来た。
ちょっと!リボン操れるの!?
シオンを連れて、抱きしめてエレベーターに連れて行く。
幸いにすぐついた。
「閉」ボタンをカチカチカチカチ死ぬ気で押して、扉が閉まった。
とりあえず一階のどこかの店に身を隠して、様子を見よう!
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「シオン…っ」
もっと早く来てれば…シオンは生きていたのかな…
シオンと一緒にあの化け物から逃げて、助かったのかな…
「なんでっ…私のバカ…」
自分の嗚咽が店内に響く。
もしかしたら、他のみんなも死んでいる…
そんなはずはない…!
「シオンを死なせた分、私が立ち上がらなくちゃ…」
悲しみと決意が渦のように巻いた私の心。
シオンにそっとアパレルショップの服をかぶせて、遺体を隠しておいた。
本当はこんなことしちゃダメかもしれないけど。
隠れたアパレルショップを出て、1人で歩き始めた。

青木シオン:発見

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