宗主国の皇女は、属国で幸せを見つける
オルランドとフィロメナの仲が上手くいっていないのは
周知の事実なので、
王妃にちょっかいを出そうとする不届き者がいる。
どさくさに紛れてお尻を触ってくるのなんて
まだ可愛い方で、
いわゆる夜のお誘いをされた時には
気持ち悪さで吐きそうになった。

けれど主催者の妻である以上、
騒ぎを起こすわけにもいかず
引きつった笑みでかわすのが精いっぱい。
とにかく嫌で嫌で仕方なかった。

気を紛らわすかのように読書に没頭していると
無情にも時はあっという間に過ぎ去っていく。
マーゴの手を借りて正装に着替えたフィロメナは
嫌だという気持ちを全て、
分厚い化粧に閉じ込めて
鉄の微笑をたたえるのだった。
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