『脆い絆』
86 ◇哲司くんの元奥さんって……
「そう……みたいですね」
「そっか、実は雅代ちゃんが哲司さんの幼馴染だってことは温子さんから聞いて
知ってたんだけど……雅代ちゃんは哲司さんの元奥さんが誰だったのか知らなかったのね」
「はい。私の実家と哲司さんが暮らすようになった奥さんの実家とは離れてます
し、結婚式にも出ていませんので人伝手に聞いていただけなので。
奥さんっていう女性が看護婦さんで綺麗な人だっていうことは
なんとなく聞いて知っていましたが……。
哲司さんが離婚してたっていう話も昨日知ったばかりで、ずっと知らなかったものですから……」
絹は一瞬どこまで話していいものかと逡巡するも、まさか雅代と哲司が恋仲に
なっているとは思いもせず、知っていることを全部話してしまう。
「これは……いまから話すことは誰彼なしに話していいことじゃないから
他言無用ね。雅代ちゃん、約束できる?」
絹の身辺ではもう知っている者が大半ではあるけれど、自分が吹聴したなどと
知られると周囲からの信頼を損なう可能性もあり、絹は敢えてそのような物言いをした。
「はい、天に誓って……誰にも話しません」
そう話す目の前の雅代は、顔色が青ざめていて声も震えがちである。
想像以上に凹んだ様子の雅代を見て、絹は年の功で閃いてしまった。
********
「雅代ちゃん、もしかして哲司さんとお付き合いしているの?」
「……」
雅代は何と言って返事をすればいいのか途方に暮れた。
哲司の告白がなければ『いいえ』と答えられただろう。
だが、哲司がいつ頃から自分に好意を持っていてくれたのか分からないけれど
再会してすぐだったなら、付き合っていたことになるのかもしれなくて、
本当にどう答えればいいのか分からなくて雅代は困った。
「絹さん、私……付き合っていたつもりはなかったです。
でも昨年再会してからたまに一緒に出掛けたりはしてました。
その時の私は幼馴染として会っているつもりでしたし、哲司さんが離婚して
いただなんてちっとも知らなかったので……」
昨日雅代が哲司と会っていたことを知っている絹はピンときた。
「じゃあ、最近……ってえっ、もしかして昨日なの?
昨日、彼から交際を申し込まれたとか?」
「はい。私の方も婚家から離縁されていていろいろとありまして、その流れで、
そういうことに、まぁ……」
「そういうことなら、よけい雅代ちゃんには話しておくわ。
結婚は一生のことだし、哲司さんに嫁ぐなら何もかも知った上でがいいと
思うから」
「……?」
――――― シナリオ風 ―――――
絹「雅代ちゃんは哲司さんの元奥さんが誰だったのか知らなかったのね」
雅代「はい。結婚式にも出てなくて、人伝手に聞いていただけなので」
(N)
絹は、ちっとも哲司について知らないことだらけの雅代に……
どこまで話していいものかと逡巡するも、まさか雅代と哲司が恋仲に
なっているとは思いもせず、知っていることを全部話してしまう。
◇絹の告白
絹「これは……他言無用よ。約束できる?」
雅代「……はい。誰にも言いません」
そう話す目の前の雅代は、顔色が青ざめていて声も震えがちである。
想像以上に凹んだ様子の雅代を見て、絹は年の功で閃いてしまう。
絹「雅代ちゃん、もしかして哲司さんとお付き合いしているの?」
雅代「昨年再会してからたまに一緒に出掛けたりはしてましたけど、付き合っ
ていたつもりはなかったです。その……哲司さんには奥さんがいるって
思ってましたし」
昨日雅代が哲司と会っていたことを知っている絹はピンときた。
絹「ってことは、えっ、もしかして昨日なの?
昨日、彼から交際を申し込まれたとか?」
雅代「……はい、まぁ、そういうことに」
絹「そういうことなら、よけい雅代ちゃんには話しておくわ。
結婚は一生のことだし、哲司さんに嫁ぐなら何もかも知った上でがいいと
思うから」
雅代「……?」
「そう……みたいですね」
「そっか、実は雅代ちゃんが哲司さんの幼馴染だってことは温子さんから聞いて
知ってたんだけど……雅代ちゃんは哲司さんの元奥さんが誰だったのか知らなかったのね」
「はい。私の実家と哲司さんが暮らすようになった奥さんの実家とは離れてます
し、結婚式にも出ていませんので人伝手に聞いていただけなので。
奥さんっていう女性が看護婦さんで綺麗な人だっていうことは
なんとなく聞いて知っていましたが……。
哲司さんが離婚してたっていう話も昨日知ったばかりで、ずっと知らなかったものですから……」
絹は一瞬どこまで話していいものかと逡巡するも、まさか雅代と哲司が恋仲に
なっているとは思いもせず、知っていることを全部話してしまう。
「これは……いまから話すことは誰彼なしに話していいことじゃないから
他言無用ね。雅代ちゃん、約束できる?」
絹の身辺ではもう知っている者が大半ではあるけれど、自分が吹聴したなどと
知られると周囲からの信頼を損なう可能性もあり、絹は敢えてそのような物言いをした。
「はい、天に誓って……誰にも話しません」
そう話す目の前の雅代は、顔色が青ざめていて声も震えがちである。
想像以上に凹んだ様子の雅代を見て、絹は年の功で閃いてしまった。
********
「雅代ちゃん、もしかして哲司さんとお付き合いしているの?」
「……」
雅代は何と言って返事をすればいいのか途方に暮れた。
哲司の告白がなければ『いいえ』と答えられただろう。
だが、哲司がいつ頃から自分に好意を持っていてくれたのか分からないけれど
再会してすぐだったなら、付き合っていたことになるのかもしれなくて、
本当にどう答えればいいのか分からなくて雅代は困った。
「絹さん、私……付き合っていたつもりはなかったです。
でも昨年再会してからたまに一緒に出掛けたりはしてました。
その時の私は幼馴染として会っているつもりでしたし、哲司さんが離婚して
いただなんてちっとも知らなかったので……」
昨日雅代が哲司と会っていたことを知っている絹はピンときた。
「じゃあ、最近……ってえっ、もしかして昨日なの?
昨日、彼から交際を申し込まれたとか?」
「はい。私の方も婚家から離縁されていていろいろとありまして、その流れで、
そういうことに、まぁ……」
「そういうことなら、よけい雅代ちゃんには話しておくわ。
結婚は一生のことだし、哲司さんに嫁ぐなら何もかも知った上でがいいと
思うから」
「……?」
――――― シナリオ風 ―――――
絹「雅代ちゃんは哲司さんの元奥さんが誰だったのか知らなかったのね」
雅代「はい。結婚式にも出てなくて、人伝手に聞いていただけなので」
(N)
絹は、ちっとも哲司について知らないことだらけの雅代に……
どこまで話していいものかと逡巡するも、まさか雅代と哲司が恋仲に
なっているとは思いもせず、知っていることを全部話してしまう。
◇絹の告白
絹「これは……他言無用よ。約束できる?」
雅代「……はい。誰にも言いません」
そう話す目の前の雅代は、顔色が青ざめていて声も震えがちである。
想像以上に凹んだ様子の雅代を見て、絹は年の功で閃いてしまう。
絹「雅代ちゃん、もしかして哲司さんとお付き合いしているの?」
雅代「昨年再会してからたまに一緒に出掛けたりはしてましたけど、付き合っ
ていたつもりはなかったです。その……哲司さんには奥さんがいるって
思ってましたし」
昨日雅代が哲司と会っていたことを知っている絹はピンときた。
絹「ってことは、えっ、もしかして昨日なの?
昨日、彼から交際を申し込まれたとか?」
雅代「……はい、まぁ、そういうことに」
絹「そういうことなら、よけい雅代ちゃんには話しておくわ。
結婚は一生のことだし、哲司さんに嫁ぐなら何もかも知った上でがいいと
思うから」
雅代「……?」