『脆い絆』
9 ◇ビタ一文渡さない

妹の凛子は高等女学校を卒業後、一度も就職せず結婚するまでは家事手伝いしか
してこなかった子で、ただの一度も実家にお金を入れたことがない。


そして出戻ってきている今も、出戻ってから1年も経つが未だに働こうとは
せず、表向きは家事手伝いでその実態ときたら、平日は自分の部屋に籠り
好きな読書をしたり友達と出歩いたりして時間を潰してきたのだ。


そして休みになると娘や夫と連れ立って街へと繰り出していたようだ。

休日は身体を休めないと1週間の勤務が体力的に厳しいため
休日に3人が出掛けるのをむしろ喜んで眺めてきたのだが
そのツケがこのような形で現れるとは、これについては私の
大失態としか言いようがない。


だが、夫と2馬力で働いているからこそ両親たち、すなわち家にも
毎月かなりの額を入れることができてきたのだ。

私たちの収入があるからこそ、両親も妹を甘やかすことが
できているのだ。それを分かっての発言なのか。

私が家を出るということは、夫がいくら家に入れるのか……
夫の胸三寸になるだろう。

もう私の手を離れたことだから心配する必要もないことだけど、あの母親や父親は
分かっているのだろうか。

お金だけ入れてくれと縋られても私はビタ一文渡さないつもりだし
家賃が必要になれば、もう渡したくても渡せなくなる。
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