私の中にあるモノ
私は、一体こんなところで何をやってるんだろう。
仲間達と一緒に、逃げ帰れば良かったものを。
そうすれば、大切な記憶を失わずに済んだものを。
だけど私は、動けなかった。
きっと何度、同じ選択を迫られても。同じ場面をやり直したとしても。
私は、この場を動かなかったに違いない。
あるいは…これは、私の意思ではなく。
…呼ばれていたのかもしれない。
この部屋の内側にいる「モノ」。
そして、私の中にいる「モノ」に。
私は、そっとドアノブに手をかけた。
無意識の行動だった。
本当は死ぬほど怖いのに。逃げ帰りたくて堪らないのに。
でも、身体が勝手に動いていた。
ドアノブを回して引っ張ると、何の抵抗もなく、扉が開いた。
鍵が壊れているというのは、本当だったらしい。
部屋の中は、暗かった。
多分何処かに、電灯のスイッチがあるんだろうけど。
それを探すこともせず、私は一人、静かにその部屋の中に入った。
…扉を開けるまでは、あんなに怖かったのに。
不思議と、部屋の中に入ってしまうと、もう恐怖は感じなかった。
かと言って、好奇心に駆られていたのかと言うと、そうではなく。
…ただ、無意識に足が向いてしまった。
言うなれば…それが…私の運命だったのだろう。
部屋の中は、5階にある研究室とあまり変わらなかった。
たくさんのコンピューター、たくさんの試験管やビーカー、たくさんの書類やファイル…。
だけど、私はそれらには見向きもしなかった。
部屋の中央に、一抱えほどもあるガラスケースが鎮座していた。
私の視線は、部屋に入った瞬間から、そのガラスケースに釘付けだった。
私はそっと、そのガラスケースに近づいた。
「…ここに、いたんだね」
無意識に、声が出ていた。
ガラスケースの中に、語りかけるように。
「…教えて」
君の心の中。
君の意志。
君が本当は、何を望んでいるのか。
何の為に、私をここに呼んだのか。
私は、そっとガラスケースに触れた。
仲間達と一緒に、逃げ帰れば良かったものを。
そうすれば、大切な記憶を失わずに済んだものを。
だけど私は、動けなかった。
きっと何度、同じ選択を迫られても。同じ場面をやり直したとしても。
私は、この場を動かなかったに違いない。
あるいは…これは、私の意思ではなく。
…呼ばれていたのかもしれない。
この部屋の内側にいる「モノ」。
そして、私の中にいる「モノ」に。
私は、そっとドアノブに手をかけた。
無意識の行動だった。
本当は死ぬほど怖いのに。逃げ帰りたくて堪らないのに。
でも、身体が勝手に動いていた。
ドアノブを回して引っ張ると、何の抵抗もなく、扉が開いた。
鍵が壊れているというのは、本当だったらしい。
部屋の中は、暗かった。
多分何処かに、電灯のスイッチがあるんだろうけど。
それを探すこともせず、私は一人、静かにその部屋の中に入った。
…扉を開けるまでは、あんなに怖かったのに。
不思議と、部屋の中に入ってしまうと、もう恐怖は感じなかった。
かと言って、好奇心に駆られていたのかと言うと、そうではなく。
…ただ、無意識に足が向いてしまった。
言うなれば…それが…私の運命だったのだろう。
部屋の中は、5階にある研究室とあまり変わらなかった。
たくさんのコンピューター、たくさんの試験管やビーカー、たくさんの書類やファイル…。
だけど、私はそれらには見向きもしなかった。
部屋の中央に、一抱えほどもあるガラスケースが鎮座していた。
私の視線は、部屋に入った瞬間から、そのガラスケースに釘付けだった。
私はそっと、そのガラスケースに近づいた。
「…ここに、いたんだね」
無意識に、声が出ていた。
ガラスケースの中に、語りかけるように。
「…教えて」
君の心の中。
君の意志。
君が本当は、何を望んでいるのか。
何の為に、私をここに呼んだのか。
私は、そっとガラスケースに触れた。