君に花を贈る
 翌日。じいさんと親父、それに俺の三人で、いつもお世話になってるホテルの庭木を植え替えた。
 親父が昨日のうちに古い松を掘り起こしておいたので、それを新しい松と入れ替える。じいさんと親父で土を埋め直して支柱を立てている間に、俺は周囲の花壇の植え替えをする。
 昨日、瑞希が持ってきてくれた花だ。
 ……花音ちゃんの誕生日、今日なんだよな。
 帰りに、寄れたらいいんだけどな……。
 ふと気づいて、花のポットとポットの間に挟まっていた手書きの花一覧を手に取る。……瑞希の字じゃ、ない。

「……これ、花音ちゃんの字だ」

 一覧の左下、なにかが重なって見えて、ひっくり返したら、「うちの花をよろしくお願いします」って、丁寧な字で書いてあった。

「……ちゃんと、やらなきゃな」

 息を吸って、吐く。
 音ちゃんは、仕事を抜けて祝ったって、きっと喜ばない。
 そんな花音ちゃんが育てた花を、気持ち入れずに触るなんて、したくない。
 今は、仕事に集中しよう。


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