愛しのマイガール

ふと、そっと手を伸ばした。
目の前のあたたかさにを確かめるように触れたかった。

ハルちゃんの手に、自分の指先が重なる。

驚いたように彼が目を見開いたけれど、拒まない。私の手を、すぐにやさしく包み返してくれた。

「ハルちゃん」

そのぬくもりが、胸に広がっていく。じんわりと、ゆっくりと、固くなっていた心の奥が、ほどけていくようだった。

「……助けてくれて、ありがとう」

ぽつりとこぼれた声は、いつもの私より少しだけ震えていて、どこまでも素直だった。

彼は何も言わずに、小さく笑った。そしてその笑顔の奥にある確かな想いを、私はちゃんと受け取った。


風がまた、静かに吹いた。

夜の空気がすっと澄んでいく。まるで過去の痛みも、迷いも、そっと流していくみたいに。

——もう、逃げない。
私は私の気持ちを、自分の手で選び取る。

心から大好きだと思えたこの人と、ずっと一緒にいるために。

やさしい灯がともったような静けさの中、どちらともなく並んで、ゆっくりと歩き出す。

その歩幅が少しずつ重なっていくのを感じながら、私はそっと、胸の奥でひとつだけ言葉をつぶやいた。

(……ハルちゃん。好き、だよ)

まだ声にするにはぎこちなさが残るけれど、確かに今、私はこの人に恋をしている。

静かな夜の風が、ふたりの間を優しく撫でていった。

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