愛しのマイガール
「……っ、」
声にならない震えが走る。それだけハルちゃんの目は真っ直ぐで、激しく……そして、温かかった。
彼が私のために見せた激情は、何よりも本物だった。
──初めて、私の目の前で声を荒げた。
彼が感情をあそこまで露わにするのを、私は一度も見たことがなかった。いつも穏やかで、冷静で、優しい人。
だからこそ、その怒りのすべてが、私を想ってのものだと、痛いほどに伝わった。
(ハルちゃんの気持ちは……本物だった)
理屈じゃなくて、言葉の強さでもなくて。彼の目が、声が、全身が——私を守ろうとする、真剣な想いそのものだった。
私は、好きだった人に裏切られた。
大切に思っていた人が、突然豹変する。あんなにも信じていた翔真さんに、あんな形で心を踏みにじられたことが、思っていた以上に深い傷を残していた。
だから——
(ハルちゃんの想いを受け止めるのが怖くて、ずっと逃げてた)
また裏切られるくらいならって、心のどこかで、ずっとブレーキをかけていた。
だけど今、目の前にいるハルちゃんは……
「……大丈夫だ、俺がいる」
その言葉が、冷えきっていた私の胸の奥に、じんわりと灯をともした。痛みも怖さも消えてはいないけど、確かに私の中で、変わった。
(私……ハルちゃんが好きだ)
すとんと、その言葉が心に落ちた。
(恋だった。ずっと。気づかないふりをしていた。)
だけど今、ようやくこの気持ちを“愛”として受け入れられる。今なら、信じてもいいって思える。
かつて抱いた憧れに似たものと違う。
痛くて、くすぐったくて——それよりずっと幸せな、恋心。