愛しのマイガール
……いや、違う。
もうとっくの昔に、そう決めてた。
いつか瑠璃と再会したら、あのとき交わした約束を、絶対に本物にすると。
それだけが、ここ十数年の俺の支えだった。
昔の俺はひどく不安定で、瑠璃の言葉が、存在そのものが、今の俺をつくってくれた。
誰にも理解されなくていい。応援なんかいらない。
だから、俺は――
「るりは俺が守る。これからは、ずっとだ」
たとえ誰に何を言われようと、関係ない。
彼女が泣かないように。孤独に飲まれないように。
そのためなら立場でも、権力でも、金でも、使えるもんはなんだって使ってやる。
そのとき、ふと翡翠が口を開いた。
「……おい、巴琉。お前は親友だ。ちょっとコエーけど、瑠璃のことすげえ大事に思ってくれてるのは分かる。だが、」
呆れたような声。けれど、そこには確かにあたたかさがあった。
「瑠璃は俺の大事な妹だ。お前でも泣かせたら容赦しねえぞ」
「分かってるよ」
それ以上言う必要はなかった。
短い言葉の中に、全部込めた。俺の想いも、覚悟も。
「大人しく見てろ、翡翠。お前の妹は俺が世界一幸せにしてやる」
そう言い切った俺に、翡翠は頭を抱えてうめいた。
「……とんでもねえやつ巻き込んじまったわ……」
まあ、自覚はある。
だが今さら引く気なんか更々ない。
椅子を軽く蹴って立ち上がる。
頭の中にあるのは、さっきのるりの笑顔だけ。
この感情に、もし名前をつけるなら――
人生を懸けて手にしたいと思った、ただ一つの「愛」。
窓の外、都会の景色を見下ろしながら、俺はゆっくりと息を吐いた。
次に会うときは、できればもっと近くで。
彼女を守る者として。隣に立つ者として。
そのときの“るり”だけを、俺はもうずっと見ている。