クロネコメール
「はぁ。だから、それ俺の」

軽く溜め息をつきながら言う。


やっぱり。声もいい。

低すぎず、高すぎず、丁度いい感じ。


……あたし、変態みたいだなぁ。


少し自己嫌悪に陥りながらも、彼に猫を返そうと彼に近づいた。


廊下にシューズの“キュッキュッ”という音だけが静かに響く。


あたし、沈黙とか苦手…




「はい」

両腕に抱えていた黒猫を、彼の腕へとそっと移した。
黒猫も、それに従うかのように、そのまま流れに身を任せているようだった。



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