影の妻、愛に咲く~明治の花嫁は、姉の代わりだったはずなのに~
「誠一郎さん……」

「君は、俺を愛しているはずだ。」

誠一郎さんに手を伸ばす。

ああ、私の居場所はここにある。

父の手が、私の腕を強く掴んだ。

「何が愛だ。おまえは高嶋の娘だ。家の名を、恥さらしにはさせん!」

「痛い、やめて……!」

私は必死に振りほどこうとした。でも、父の手は容赦がなかった。

「梨沙!」

誠一郎さんが叫んだ。

瞬間、彼が駆け寄ってきて、父の手を力強く引き剥がした。

「止めて下さい。梨沙さんに暴力を振るうのは止めて下さい。」

すると父は舌打ちをした。

「梨沙、帰るぞ。」

私は誠一郎さんを見つめた。

「梨沙、ここにおいで。」

私は誠一郎さんの腕の中にいた。

「梨沙、離さない。」

するとお母様が私達を引き離した。

「悪いけど、一旦梨沙さんは家に帰って下さい。」

「えっ……」
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