影の妻、愛に咲く~明治の花嫁は、姉の代わりだったはずなのに~
その言葉に、私は襖の向こうで手を口に当てて泣いていた。

ゆっくりと、襖が開けられる。

「……梨沙。」

「誠一郎さん……!」

誠一郎さんは私を強く抱きしめた。

「遅くなって、すまなかった。今度こそ……誰にも君を奪わせない。」

軍三郎さんは、静かに背を向けた。

「貫け。男ならば。」

軍三郎さんは、誠一郎さんの腰を叩いた。

「結婚してから、妻に溺れたと聞く。離れていれば、さぞ溜まってるだろう。」

誠一郎さんは顔を赤くした。

「えっ……」

私は驚いた。あの誠一郎さんが照れてる。

「行け。布団は用意してある。」

「ええっ!」私も誠一郎さんも驚いた。

「まだ若い奴らは、子作りせんとな。」

軍三郎さんは笑って去った。

軍三郎さんが去ったあと、部屋には二人きりの静寂が残った。

誠一郎さんはまだ頬を赤く染めたまま、私を見つめている。

「……まったく、とんでもない人だな。」
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