地の果てに咲く花2
……そーいや雷稀兄って髪染めてんだよな。
俺も染めようかと、自分の黒髪を見る。
「兄ちゃん」
こそっと秋真に呼ばれ、桜駒の方を指さされた。
そこには暗い表情をした桜駒。
双子だからかな、桜駒の考えてることがわかってしまって。
「桜駒」
咎めるように、桜駒に声をかける。
「お兄ちゃん」
桜駒が微笑みながら、俺を見上げた。
でもその瞳の奥は笑えてなくて。
まだ、愛を信じれてないんだと、分かってしまった。
愛を信じられない妹に、どうやって愛を教えてやればいい?
俺には、それがわからない。
「大好きだよ、お兄ちゃん」
桜駒が笑いながら言った。
まるで文脈が繋がっていない会話。
だけど、意図もせずに彼女の気持ちが汲み取れた。
『愛せないけど、大好きな気持ちは偽りではないよ』
最愛の妹が、そう思っているのに俺は何もできないから。
無力な自分が情けなくて、そんな自分から目を逸らした。