花が咲くたび君を忘れる

転校生の女の子。

俺が通っている県立桜ヶ丘高校には名前にも入っている通り、校庭に町では有名な「千本桜」があり春になると大勢の人がみにくるというほど人気である。

高校生になってすぐ、転校生がやってきた。その子の名前は澪木咲という子だった。

『咲ちゃんってなんか懐かしい感じがするよね!』
とクラスメイトが呟いているのを聞いてずっと不思議に思っていた。

彼女は昨日転校してきたばかりなのに、異常にこのクラスに馴染んでいるし、先生にも前から『ここ』にいたように接されている。

しかし、彼女が転校生だと噂されている日から月日は流れやがて、彼女の近くに誰も寄らなくなってしまった。
そんな中、俺だけは彼女によく話しかけに行っていた。
「澪木さん、次移動教室だよ。遅れないように」

澪木「ありがとう、だけど私のためにそんなこと言ってくれなくていいよ」
と軽く拒絶されてしまった。自分でもわからないけど、彼女を放っておいたらいけない気がした。

知らないところで儚く散るではないけれど、気がついたらいなくなっていそうでなぜか俺が怖くなっていた。
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