売られた少女はクールな闇医者に愛される

｢雪菜！めっちゃ上手じゃん！｣

台所で朝食の準備をする。朝の5時に集合でドキドキしたけど、真希と桜が優しく迎えてくれた。

桜の声が響く。

｢おーー、雪菜ちゃんいいっすね！｣

今日担当の組員の人達も褒めてくれる。

雪菜は叔父夫婦の家で毎日料理していた。そのため一通り料理は出来る。

今日の朝食は豚汁とキャベツの千切りにトマトときゅうりをのせたサラダ、卵焼きに白米だ。

雪菜は大根とじゃがいもの皮をむいて、1口サイズに切っていくことを頼まれた。

｢あっありがとうございます！｣

雪菜は褒められてペコペコと頭を下げる。

台所は組長と側近の太一の席以外は決まっておらず、基本的にどこに座ってもいい。朝は7時から9時まで、昼は12時から14時、夕は18時から20時までいつでもご飯を食べれるようになっているし、おかわりは自由だ。ただ、早い者勝ちではあるので、ギリギリに行くと、ご飯がなくなってることもあるので注意は必要だ。

昼ごはんは食べたい人が前日までに希望をだして、数分のみ作ることになっている。だいたい丼やパスタなど1品のみだ。
そのため、昼食作りは1人だけが担当し、他の者が洗濯や掃除など別のことをする。
だいたいは、この家で昼食作りはいちばん料理が上手い真希がしている。
そして夕食はまたみんなで作る流れだ。


料理が完成し、7時になったので組員の人がどんどんやってくる。

来た人に桜がどんどん朝食のプレートを配っていく。おかわりはまた台所に来てゆすってもらうスタイルだ。

｢おはようー！｣
｢あんた眠そうね。もっとシャキッとしんさい！！｣
桜は美人でさばさばした性格で、組員の人に声をかける。

組員の人も若頭の妻というポジションだが、気兼ねなく話していた。

今日、朝食担当だった組員の人達は食堂に座ってご飯を食べている。

雪菜は台所から食堂の様子を見る。

男ばかりの異世界に来たようだと思う。
みんなカラフルな頭で派手な刺青が入っている。

今日の朝食担当の組員は3人だけだったが、緊張であまり上手く話せず、桜にかなりフォローしてもらった。

これからうまくやっていけるんだろうか…
雪菜は不安な気持ちになる。