恋とバグは仕様です。 ~営業スマイルで喧嘩して、恋に落ちるまで~
05|告白“未満”の本音
数日後。
凛は、意を決して遥人に言った。
「ねぇ、今日のテスト、キャンセルして」
「……は?」
「仮想恋人のままじゃ、……わたし、なんか、変になる」
「……何が?」
「たぶん、仕様書にないエラーが、私の中に起きてるの」
言い終えて、下を向く凛の肩に、そっと手が置かれる。
「──同じだよ」
「え?」
「俺も、もう仮想とか言ってらんないくらい、お前のこと、気になってる」
ぐっと顔が近づいた。
けれど──
「……でも今はまだ、ちゃんと言わない」
「……どうして?」
「お前が“仕事としてじゃない自分”で笑えるようになったら、そのときにちゃんと言う」
凛は、少しだけ笑った。
いつもの“営業スマイル”ではない、
彼女自身の、弱くて真っ直ぐな笑顔だった。