恋とバグは仕様です。 ~営業スマイルで喧嘩して、恋に落ちるまで~
02|お試し恋人モード、開始
ランチタイム、オフィス近くの静かなカフェ。
「なにこの空気……変な緊張するんだけど」
「だろうな。いきなり“仮想”から“本番”に移行だからな」
「本番って言い方やめてよ……」
思わずむくれる凛の頬を、遥人は少しだけ眺めて、ふっと笑った。
「でも、お前が横にいると、落ち着く」
「……ずるいなぁ」
「なにが」
「そうやって、自然に距離縮めてくるとこ。仕事のときとテンション違いすぎて、戸惑うじゃん……」
「俺もだよ。営業スマイルの凛は見慣れてるけど、素の凛は、ずるいくらいかわいい」
「っ……!!」
顔が熱い。心臓が爆音。
言葉が出ないほど、全身に甘さが染み渡る。
“好き”って、こんなにもじわじわ効いてくるものなのかと、初めて知った。