恋とバグは仕様です。 ~営業スマイルで喧嘩して、恋に落ちるまで~
02|“仕様外”の心の動き
その日の帰り道。
偶然、同じタイミングでエレベーターに乗り込んだ二人。
「お疲れ、白河さん」
「……朝倉さんもね」
社外では、仕事モードを解除して「他人行儀」を貫く──それが暗黙の了解だった。
けれど。
扉が閉まり、二人きりになると、凛の肩がわずかに震えた。
「──あのさ、朝倉さん」
「……ん?」
「今日の“手つなぎ”、……なんか、やだ」
「……やだ?」
「なんか、変に意識した自分がムカつくの。こんなの“バグ”だし」
言い終えると同時に、扉が開いた。
凛は足早に立ち去った。
──残された遥人の手のひらには、まだ熱が残っていた。