恋とバグは仕様です。 ~営業スマイルで喧嘩して、恋に落ちるまで~
03|雨の日の、まさかの同居
週明け、突如のゲリラ豪雨。
「え……最悪、傘ない……」
プロジェクトチームの打ち合わせを終えた凛は、ずぶ濡れになってビルから出ようとしたその時──
「……おい、こっち来い」
遥人が自分の傘にぐいっと引き込んできた。
「……え、ちょっと……!」
「お前ん家、こっちだろ? 送ってく」
「いやいや、いいってば! 恋人設定とかもう業務時間外だから!」
「そうだな。だが風邪引かれたら、明日のレビューがめんどい」
「……うわ、そういうとこホント、合理主義」
結局、びしょ濡れのまま、ふたりは凛の自宅に辿り着いた。
「着替えないと風邪引くだろ。タオルとなんか貸せよ」
「え、ちょ、ちょっと。なんで自然に上がってるの?」
「もう濡れたんだ。今さらだろ?」
強引に部屋に入ってきた遥人に、凛はタオルとTシャツを差し出す。
「これ……元カレのだけど、たぶん入る」
「元カレ?」
「……忘れて。もういないから」
「ふーん」
濡れたシャツを脱ぎながら、遥人がぼそりと呟く。
「……アイツ、目、腐ってんな」
「え?」
「お前を手放すとか、マジでバグじゃん」
瞬間、胸がどくんと跳ねた。
心臓が、仕様外の反応を示している。