あなたの子ですが、内緒で育てます
「踊ろうか。あまり上手くはないが、お互いそのほうが良さそうだ」

 気がつくと、ザカリア様はザカリア様で、積極的な令嬢たちに囲まれていた。
 その輪の中から、するりと抜け出すと、私の手を取って、広間の真ん中まで連れていく。

「逃げ出せたようだ」
「私も助かりました」
 
 やっと落ち着いた――でも、ルドヴィク様が不機嫌な顔で、こちらを見ている。
 
「デルフィーナは兄上とうまくいってないようだな」
「そうですね……」

 ルドヴィク様は七年前、私ではなく、デルフィーナを選んだ。
 デルフィーナを王妃に選んだのなら、その想いを貫き通してほしかった。
 流されやすいルドヴィク様の性格は変わっておらず、七年前と同じ。
 デルフィーナは、私と違う。
 けれど、今になって、ルドヴィク様の愛情を失うのは辛いはず。
 七年前の自分を思い出したせいか、不安な気持ちが広がり、心からパーティーを楽しむことはできなかった――
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