あなたの子ですが、内緒で育てます
「あらぁ~! 抜け駆けですの?」

 ルチアノはまだ七歳。
 けれど、次期国王の可能性が高まったため、自分の娘を売り込みに来たらしい。
 そんなお相手も五歳だとか、三歳なのだけど……
 当のルチアノは、ロゼッテとケーキが並ぶテーブルでおしゃべりをしている。

「お相手は、おいおい決めさせていただきますわ」

 そう答えるので精いっぱいだった。
 まだ、そこまで頭が回らない。
 会話を終えて、一息つく。
 視線を感じ、振り返るとルドヴィク様と目があった。

 ――まさか、ずっと見ていた?

 ルドヴィク様がなにを考えているかわからないけれど、私と目が合うと、椅子から立ち上がった。

 ――私をダンスを誘うつもりでは?

 思わず、後ずさりしてしまった。
 冗談ではない。
 仲良くしているところを貴族たちが見れば、復縁するのではないかと勘違いされる。
 けれど、逃げるに逃げられない。
 
「セレーネ。どうした?」

 ザカリア様が背後に立っていて、私の両肩を支えた。

「あ、あの……」

 ルドヴィク様に気づいたザカリア様は、私の手を取った。
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